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第4話 | (むしゅうのゆ) 虫生の湯(豊岡村) |
昔、豊岡の山の虫生の村に、皮膚病に悩む男がいました。ある日、紀州の熊野権現さんにお願いするといいと聞いた男は、さっそく熊野へ参拝。近くの温泉で療養すると、本当に病は治ってしまいました。 男は大喜びしながら考えました。わしと同じ病気で悩んでいる村人は沢山いる、この湯が村に出たならなぁ、と。そして、熊野さんに一心に祈りました。するとある夜、夢の中に権現様が現れて、「汝の家の南の山に煙が立ち登る。その下の泉を掘ってみよ」と告げました。 家に帰ると、南の山にたしかに紫色の煙が立っています。行ってみると、藪の中に冷泉がわいているではありませんか。この水を湯にわかして浴びた村人たちも、たちまち病気が治ってしまいました。評判は、村の外にも伝わり、各地から人々が集まって浴舎もできました。こうして虫生の温泉は、江戸時代の終わりまで湯治客で賑わったのです。 (「豊岡物語」より) |
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