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中遠昔ばなし

第31話   (よりきじんじゃのはじまり)
寄木神社のはじまり(浅羽町)

寄木神社のはじまり(浅羽町)

 浅羽町に3ヶ所ある、寄木神社のお話です。(同笠、大野、中新田地区)今から300百年程前の江戸時代に、浅羽海岸を中心に大津波がおき、海岸周辺の集落は大打撃を受けました。この地方の殿様から、町の人たちを助けるよう命じられた役人が、海岸(現・浅羽町中新田)を歩いていると、神々しい光を放つ木像の観音様が打ち上げられているのを見つけ、拾って帰りました。
 名主にこの話をすると、木像の観音様について次のように話してくれました。「昔、漁に出た船が台風にあって難破し、そのうち一人だけが見知らぬ島に流れついた。
 その島の海岸で、打ち上げられた寄木の中に木像の観音様を見つけ、村(現・浅羽町西同笠)へ戻れるように毎日拝んでいたところ、その願いが通じ無事村へ帰ることができたそうだ。
 「これも木像のおかげだと、『寄木大明神』として、同笠、大野、中新田地区の3つの村に神社を建てておまつりした。しかし、この前の大津波で流され、木像はどこかへ行ってしまったのだよ。」船が漁に出た日、村人が帰れた日、そして役人が木像を拾った日すべて9日。これは単なる偶然ではないと大変ありがたく思い、神社を建て直し、9日を観音様をおまつりする日としたそうだ。

(「寄木神社縁起」より)

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