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第38話 | (いどからひのたま) 井戸から火の玉(竜洋町) |
明治の初めの頃、掛塚のある金持ちの家の井戸から、毎夜のように火の玉が出たという。 この家では、おそのという娘を雇って子守などをさせていた。ある日のこと、おそのがちょっと目を放した間に子供が井戸に落ちてしまい、急いで井戸から引き上げたが、子供は亡くなっていた。 主人は真赤になって「おその、子供を生かせ。お前がぼんやりしているからだ。すぐ生き返らせなきゃ承知しないぞ」と怒った。おそのは泣きながら謝罪したが、主人は「生き返らせないなら貴様も死んでしまえ」と許さず怒りにまかせ、おそのを足蹴りにした。おそのは、いっしょに主人に謝ってくれるように父に話した。父は大地に頭をこすりつけて詫びるのだった。 しかし主人は許さず、またしてもおそのを二度三度…と足蹴りにした。これを見た父親はあまりのことにかっとなり、無念の形相すさまじく、おそのの襟元をつかみ、ずるずるとひいて井戸に投げ入れてしまい、「性あらば七代たたれ」と呪いの声を吹き込み帰った。間もなくこの家は亡びたが残った井戸から火の玉がでるのだという。 (「ふるさと竜洋改訂版」より) |
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