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第44話 | (ひょうろくだま) ひょうろく玉(豊田町) |
今から100年くらい前、雨の降りそうなどんよりした晩のことである。岡田村(磐田市岡田)から天竜村(磐田市天竜)にわたり、南から北へと提燈の火らしきものが行ったり来たりした。 これを見た海老塚(豊田町海老塚)の人たちは、みんな「また出た、また出た」と言って見に行ったと言う。その頃村に元気のよい善平という若者がいて、「よし、おれが行って確かめてみる」と言って、向う鉢巻きに草履をはいて行ったところが、どこまで行ってもその火もとは先の方へ先の方へと動いて行って、どうしてもわからなかった。 その話を聞いた友人たち4、5人が、今度はきっと見定めて来るといって、早くからその近くで待っていたところ、狸の一群がボスを先頭にぞろぞろと歩いて来た。あまりたくさんの狸なので元気のよい若者も腰を抜かし、ひょろひょろとしてしまった。ひょろひょろ玉がいつしかひょうろく玉に変わったという話である。この話を聞いた村人たちは「狸の嫁入り」だと言ったという。 また一説には徳川家康が見付(磐田市見付)に築城をしようとして、中泉(磐田市中泉)に御殿を造り、天正13年(1584年)頃近くの今の浦(磐田市今之浦)で鷹狩りを楽しんでいたとき、誤って部下が若い女官を殺してしまったとのことで、毎年その頃にひょうろく玉が現れたとも言われている。 おしまい (「ふるさと豊田」より) |
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