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第45話 | (そのだのさんどくり) 園田の三度栗(森町) |
400年も昔のことです。 武田方との戦いに敗れた家康は家来たちとも別れ別れになり、ただ一人で逃げ回っていました。家康は疲れ果て、ふらふらになって園田の地まで辿り着きました。一軒の農家の前まで来た時には、お腹もぺこぺこで一歩も歩くことが出来ず、庭先に座り込んでしまいました。 「やれやれ。ひどい目にあったな。」「うん、何か食べるものがないかな。おい何か食べるものを…」農家には、おばあさんが庭でほしものをしていました。 おばあさんは、気の毒に思いましたが、あいにいく家に食べるものが何もなかったのでどうすることも出来ませんでした。「ああ、そうだ。あれで我慢してもらおう。」と縁側の隅に、拾ってきたばかりの生の栗の実があるのに気づきました。 「今、家には、あいにくと何もありません。これでも少しは腹のたしになるのでしょう。よかったらおあがりください。」と言って、その栗の実を出しました。お腹のすいていた家康は、たいそう喜んで、皮をむくのももどかしく、むさぼり食べました。 「ああ、うまかった。おかげで命拾いした。」と厚くお礼を述べた家康は、食べ残した一つの栗の実を庭先の畑に埋めて、「わしの食べた分だけ実ってくれよ。」と言いながら2、3回踏みつけて、去っていきました。 やがて、そこから芽が出て、大きく育った栗の木からは、6月、9月、11月と、1年のうちに3度花が咲き、実をつけたと言うことです。 おしまい (森町教育委員会発行「森町ふるさとの民話」より) |
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