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第46話 | (えんめいみがわりじぞうそん) 延命身代わり地蔵尊(袋井市) |
昔、山梨の隣村にしっかり者でかしこい妻がいました。けれどもこの夫は、なまけ者で遊んでばかりいました。 妻は夫をなんとかまじめで、働き者の心のやさしい人になってもらいたいと思い、近くにあるお地蔵様に願を掛け、毎夜、夫の寝たあとにお参りをしていました。 そして、満願の夜のことです。妻が毎夜出掛けていくことを怪しんでいた夫は、太田川の土手に待ち伏せし、近づいた妻の左肩を刀で大きく切りつけ、あわてて家に帰りました。 けれども、家に帰ると妻は何事もなく眠っており、傷もありません。驚いた夫は妻を起こし、先程のことを話しました。 妻は、お地蔵様に願を掛け、毎夜お参りをしていたことを夫に話し、「それでは先程、肩の所に針をさした様な痛みを感じたのはそのためでしたか」と言ったので、夫はますます驚きました。 夫は、「申訳ない…」と自分の過ちを悔み、これまでの罪深い数々の行いを詫びて、妻といっしょにお地蔵様にお詣しました。見ると石のお地蔵様の左肩には深々と斬られたあとがありました。二人はびっくりし、思わず胸がいっぱいになりました。それからの夫は心を入れ替え、まじめな働き者になったということです。ところで隣村に薬屋があって、この店にある夜「こう薬」を買いに来た客があったそうです。お店の人が、「どちらのお人ですか」と尋ねると、客は「山梨」と言い、「お名前は」と聞くと一言「地蔵」と言って姿を消したということです。 このお地蔵様は、上山梨(上町)板築橋の東側にある「正行院」の境内におまつりしてあります。薬が効いたのか、左肩の傷はすっかり治っているとか…。 (「袋井に伝わる昔話」より) |
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