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第73話 | (ゆさんじのてるひめつばき) 油山寺の照姫椿(袋井市) |
医王山薬王院油山寺の薬師堂の前に照姫椿という椿があります。普通の椿は、しおれた時花ごとぽろりと落ちるのですが、この照姫椿は三月から四月に紫がかったピンクの美しい花を咲かせ、花弁は櫻の花のように一ひら一ひらずつ散るのです。 今から三百年位昔のことです。京の都に「中納言藤原宗茂卿」というお公家さんがいました。 その公家には照姫というやさしく美しいお姫様がありました。母を早くになくした照姫は哀しみのあまり視力がだんだんと弱くなり、遠くを見ることができませんでした。有名なお医者様に診ていただいたり、薬を飲んだりしましたが思うように目は良くなりませんでした。 ある時、人から「遠江の油山寺の薬師如来にお参りすれば目は良くなる・・・・」と聞きました。 照姫は都からはるばる遠江の油山寺まで尋ねて、そして一心に拝みました。拝んでいるうちに視力は少しずつ良くなりました。 目が見えるようになったお礼と、母の菩提を弔うようにと、「貞照院」という尼さんになりました。けれど、もともと病弱であつたため十七歳の若さで亡くなってしまいました。 その頃、京にいた次女の露姫は、姉さんの照姫をたずねて油山寺を訪れましたが、照姫が亡くなったと聞き悲しみにくれていました。すると露姫の夢の中に照姫が現れ、 「たとえ命は絶えても、後の世までも恩返しのつもりで、私の魂を椿に宿します・・・。」 露姫は夢さめてお告げのとおり薬師堂の近くへ行ってみると、椿の花びらがちらちらと散っていました。これが照姫椿です。 (「袋井の昔話」より) |
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