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第75話 | (はんめのいわれ) 半目のいわれ(森町) |
森町(もりまち)三倉(みくら)の中野(なかの)というところに「半目(はんめ)」という地区があります。 昔、三倉の地内で、武田、徳川両軍の間に激しい戦いがありました。 この戦いでは、徳川方が負けて、兵たちは、ちりぢりになって逃げていきました。兵たちが逃げたあとから、りっぱなよろいかぶとをつけたさむらいが、片手で顔をおさえ、よろめきながら歩いてきました。ある一軒の家の中に倒れ込むと、「わしをかくまってくれ」と頼みました。さむらいは片方の目に傷を負って、血を流しておりました。家の人たちは、たいそうかわいそうに思い、傷口を焼酎(しょうちゅう)で消毒し、薬をつけて親切に介抱し休ませてあげました。 それから、二日、三日と日が過ぎるうちに、傷はどんどんよくなり、見えなかった目も少しずつ見えるようになりました。目が見えるようになると、まだ傷が治りきっていないのに、さむらいは、引きとめる地区の人たちに厚くお礼を言って、味方が逃げて行った方角をめざして立ち去っていきました。 このさむらいが、片目で逃げ込んで来たことから、このあたりを「半目」というようになったと言われています。 また、このさむらいは、徳川方のたいそうえらい大将だったとか、あるいは、徳川家康その人ではなかったか、などと言われていましたが、本当のことはわかっていません。 (「森町ふるさとの民話」より) |
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