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第83話 | (くろぼうだいみょうじん) 黒坊大明神(磐田市) |
磐田市の豊田地区東部に、「海老塚」という所がある。今はもう、住宅と工場が並んでいるが、そこに、「黒坊大明神」という小さな祠(ほこら)がある。何百年か昔のことだった。東海道を旅して来た品のいい一人の老人は、このあたりに来た時、ひどい咳で、座り込んでしまった。 「おお、可哀そうに・・・・・・」 それを見つけた近くの大乗院(だいじょういん)の角念和尚(かくねんおしょう)は、親切に介抱してやった。しかし、その老人の咳はとまらなかった。そして苦しい咳の中で、「有難い。皆さんには、この思いはさせたくない」と言ったまま遂に息を絶えてしまった。 「まあ、気の毒に・・・・・・・」 角念和尚は、親切にそこに葬って、小さな塚を建ててやった。そして老人の持っていた黒布をまいておいた。すると村の人達が、咳で困るときや熱があって困るときなど、この塚に祈ると、不思議に直るのである。それで誰言うともなく、黒布のある事から、「黒坊大明神」として信仰されるようになった。 今は、ある工場の敷地内になっている。 (「続々遠州伝説集」より) |
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