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中遠昔ばなし

第96話   (びしゃもんぶちのだいじゃ)
びしゃもん淵の大蛇(森町)

びしゃもん淵の大蛇(森町)

 昔(むかし)、吉川は、水のりょうも多く、川はばいっぱいに流れていたそうです。その川の鍛冶島(かじしま)と栗之島(くりのしま)の間の深い淵の底(そこ)には、穴(あな)があいた大きな岩があって、そのなかに大蛇が住んでいたといわれていました。
 いつのころだったでしょうか。この地方に日でりが続(つづ)き、田畑の作物はかれはじめ、その上、のみ水もだんだんなくなってきました。
 そんなある日、あの淵の大蛇に雨ごいをしようではないかということになりました。そして、両方の村人全員(ぜんいん)が朝の暗(くら)いうちに淵の近くに集(あつ)まり、一心にお祈(いの)りをはじめました。夜があけても、いっこうに雨のふるようすはありませんでしたが、祈り続けました。
すると、とつぜん、
「あっ、雲だ。」
と誰かが叫(さけ)びました。指さす方を見ると、まっ黒な雲が見えました。
 さらに祈り続けると、あたりは、しだいにうす暗くなってきました。そして、黒雲のはしが、大蛇の穴の上にきたとき、たつまきがおこるようにさがってきて、穴の口にとどいたかと思ったとたん、ものすごい火ばしらが立ちのぼりました。すると、どうでしょう。雨がポツリポツリ、やがて、ザァ、ザァとしだいにはげしくふりだしました。
人びとは、喜びあい、
「大蛇が、わしらの願いを聞いてくれたぞ。」
「そういえば、光ったとき、大蛇が空へのぼっていくすがたが、ちらっと見えたような気がする。」
などと話し合いながら、それぞれの家に帰(かえ)って行きました。
 それから後(のち)、ここの地区の人たちが、日でりが続くたびに、この淵に集まって、雨ごいをすると、かならず雨がふったそうです。
 このことがあってから、何年か後のこと、大こう水になったことがありました。川上でおれた木や枝(えだ)、根っこなどが流れてきて、この淵にひっかかり、大蛇の穴の上におおいかぶさってしまったことがことがありました。
 ある朝、川岸(かわぎし)を通りかかった一人の村人がひっかかっている木のみきや根っこの間に、なにかピカッと光るものが見えたような気がして、よく見ると、それは水あかで黒ずんでいるが、たしかに仏像(ぶつぞう)でした。
村人たちは、拾いあげ、よごれをとりました。
その後(ご)、お堂(どう)を建て、そこにお祭りしました。
 この仏像が、今、栗之島にある「自得院(じとくいん)」というお寺にお祭りされている「多聞天(たもんてん)」であるといわれ、森町の文化財(ぶんかざい)に指定(してい)されています。「多聞天」は、私たちがいう「毘沙門様(びしゃもんさま)」のことで、このときからこの淵を「毘沙門淵」と呼ぶようになったそうです。

(「森町ふるさとの民話」より)

びしゃもん淵の立て札   現在の吉川
びしゃもん淵の立て札   現在の吉川

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