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第97話

（ばけたおじぞうさま　よばいじぞう） 化けたお地蔵様［夜這地蔵］（袋井市）

今井地区の延久寺（えんきゅうじ）には、お地蔵様がありますが、ふしぎなお話が残っています。 　昔、ある家にお地蔵様を祀っていました。ところが、このお地蔵様は俗気を出して毎夜化けてばかりいました。 　娘さんのいる家には、美男になって訪れては娘さんをからかい、また、若者のいる家には、美しい娘になって若者を惑わせたりしました。 　はじめのうちは、どこの者かと村人たちも笑い話にしていましたが、たびたびあるので困っていました。 　ある夜、このお地蔵様が化ける様子を村人の一人が見たのです。これは大変と、さっそく隣近所の人が協力してお地蔵様を取りおさえました。 　そして、みんなで相談の結果、お寺でお祀りしてもらうことにしました。 　そして、お寺にお堂を建てて、表に格子戸をはめて外に出られないようにしてしまいました。 　それから後、村は平和な日が続くようになったということです。 　 　延久寺にあるお堂は、建て直したもので縦格子がはめられ、錠がかかっています。中のお地蔵様は、およそ1.5メートル。やさしそうな顔のお地蔵様です。 　住職さんの話では、「昔は座敷牢のような大きな格子がはめられていた」ということ。「本当にいたずらなお地蔵様であったかどうかは分かりませんが、村人がいたずらをしては、このお地蔵様の近くに隠れたりして、お地蔵様のせいにしたのかもしれませんね。」と話してくれました。 　一般に、お地蔵様は男でも女でもありませんが、このお地蔵様は、男のお地蔵様であるということです。 　今もなお、錠のかかったお堂の中で、いたずらもしないで立ってるお地蔵様が、何だかかわいそうでした。 （「袋井に伝わる昔話」より）

	お地蔵様が祀られているお堂

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